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'''アクトシティ浜松''' | '''アクトシティ浜松'''(アクトシティはままつ)は、[[東海旅客鉄道|JR]][[浜松駅]]北東の[[浜松市]][[中区 (浜松市)|中区]]板屋町および同区中央三丁目にあり、市有施設と民有施設によって構成される複合施設群である。 | ||
== 概要 == | |||
AゾーンからDゾーンの4つに分かれており、 | |||
* Aゾーン(板屋町111-1、市有) - 大ホール、中ホール、コングレスセンター | |||
* Bゾーン(板屋町111-2、民有) - アクトタワー(複合商業ビル) | |||
* Cゾーン(中央三丁目12-1、市有) - 展示イベントホール | |||
* Dゾーン(中央三丁目9-1、市有) - 浜松市楽器博物館、研修交流センター | |||
で構成されている。各ゾーンは2階の高さで[[ペデストリアンデッキ|回廊]]で結ばれ、[[動く歩道]]も設けられている。回廊はJR浜松駅まで伸びている。 | |||
== | 旧[[日本国有鉄道|国鉄]]浜松駅周辺の[[連続立体交差事業]]による[[貨物駅]]機能の同市中区森田町への移転(現・[[西浜松駅]])に伴って市が森田町の土地の代わり([[換地]])として取得した貨物駅跡地と、後に[[国鉄清算事業団]]から市が約400億円で取得した土地をあわせて一体開発した<ref>{{Cite news |title=国鉄清算事業団 生まれ変わる旧国鉄用地 アクトシティ |newspaper=[[交通新聞]] |publisher=交通新聞社 |date=1995-08-23 |page=2 }}</ref><ref>貨物駅に隣接していた旧浜松駅の駅舎跡地は[[浜松駅バスターミナル]]として整備されている。</ref>。 | ||
[[Category: | 浜松市と[[第一生命保険]](以下、第一生命)、[[三菱地所]]が事業主体となり、[[1991年]](平成3年)に建設を開始、[[1994年]](平成6年)[[10月7日]]に落成した(Dゾーンのみ[[1995年]]4月落成)。Bゾーンの土地は超高層ビルの建設を含む開発整備の実施を条件として、複数の[[共同企業体]]による[[建築設計競技]](コンペ)を経て、市から第一生命と三菱地所に約567億円で売却されたものである。当施設の建設事業は駅跡地という空き地を開発したものであるため、厳密には再開発事業ではないが、周辺の再開発とあわせて一般には市街地再開発事業と認識されている。 | ||
[[Category: | |||
[[Category: | === Aゾーン(ホール、コングレスセンター) === | ||
大ホールでは日本初となる[[劇場#4面舞台|四面舞台]]を活用したオペラやオーケストラ演奏会のほか各種学会などが行われることも多く、施設は人口規模に比較して充実しているといえる。 | |||
中ホールには[[パスカル・コワラン]]社(フランス)製の[[パイプオルガン]](64[[ストップ (オルガン)|ストップ]]、パイプ本数4,478本)が設置されており、演奏会などのほか、各種学会や入学式なども行われている。[[聖隷クリストファー大学]]は入学式を[[パイプオルガン]]コンサート形式で行っている。クラシック専門のホールとして音質設計がされており、音が空から降り注いでくるように聞こえる。浜松出身の[[鈴木重子]]など、ここでのコンサートを行う音楽家も多い。 | |||
大・中ホールとも、地元企業である[[ヤマハ]]による音響設計が行われており<ref name="yamaha">{{Cite web|url=https://www.yamaha.co.jp/acoust/_cases/|title=ホール音響設計 実績|author=ヤマハ株式会社|accessdate=2019-10-11}}</ref>、駅前という立地条件から、鉄道からの騒音・振動を充分に遮る遮音性能をもたせている。 | |||
このほか大小の会議室も設置されている。 | |||
[[スーパー戦隊シリーズ]]の『[[宇宙戦隊キュウレンジャー]]』の第一話に登場。 | |||
=== Bゾーン(浜松アクトタワー) === | |||
{{基礎情報 超高層ビル | |||
|ビルディング名称 = 浜松アクトタワー | |||
|画像 =アクトシティ浜松夜景画像.png | |||
|画像説明 = | |||
|画像2 = | |||
|画像説明2 = | |||
|先代世界一 = | |||
|次代世界一 = | |||
|位置図種類 = Japan Shizuoka | |||
|所在地= 静岡県浜松市中区板屋町111-2 | |||
|座標 = | |||
|状態 = 完成 | |||
|着工 = | |||
|完成予定 = | |||
|開業 = [[1994年]]([[平成]]6年)[[8月]] | |||
|解体 = | |||
|崩落 = | |||
|建設期間 = | |||
|使用目的 = 商業施設・オフィス・ホテル | |||
|アンテナ_尖塔 = 212.77[[メートル|m]] | |||
|屋上 = 190.8m | |||
|最上階 = 185m | |||
|階数 = 地上45階、地下2階、塔屋1階 | |||
|床面積 = 150,978.39 | |||
|エレベーター数 = 19基(うち貨物用2基) | |||
|建設費 = | |||
|設計 = [[日本設計]]、[[三菱地所]] | |||
|構造エンジニア = | |||
|施工 = アクトシティ建設[[共同企業体]] | |||
|デベロッパー = | |||
|所有者 = [[みずほ信託銀行]] | |||
|管理運営 = アクトシティ・インベストメント有限会社 | |||
|skyscraperpage_id = 2167 | |||
}} | |||
Bゾーンの浜松アクトタワーは、地上45階建、最高部(塔屋上[[ヘリポート]])の[[高さ]]212.77mの[[超高層ビル]]。外観は、音楽の町・浜松を意識して、[[ハーモニカ]]をモチーフにしている。 | |||
[[1998年]](平成10年)に[[JRセントラルタワーズ]]([[名古屋市]])が完成するまでは[[中部地方]]で最も高いビルであった。[[2019年]]([[令和]]元年)現在、静岡県内で地上高のもっとも高いビルである。 | |||
[[オークラアクトシティホテル浜松]]<ref>開業当時は[[ホテルオークラ]]直営であったが、[[2004年]]にオークラホテル&リゾートとオリックスとの間で運営受託契約が締結され、以降「オークラ」の名前を残したまま[[オリックス (企業)|オリックス]]が運営を行っている。</ref>をはじめ、多くの企業や店舗が入居する、浜松市の[[ランドマーク]]である。周辺の再開発が進む[[2019年]](令和元年)現在においても、林立する地上30階超規模のタワーマンション群の約2倍の高さをもち、10km以上離れた浜北区内からもはっきりと確認できるなど、ランドマークとしての機能を失っていない。一番遠いところでおよそ100km離れた[[三重県]][[伊勢市]]にある朝熊山からも見えるという。 | |||
ビルは東西側から見るとビール瓶のように上部がくびれた形状となっている。このくびれ部分より上部はホテル、下部はオフィスや店舗であり、柱の間隔が異なっている。上部の荷重を下部の柱に均等に分散させるため、このくびれ部分(28階・M28階[中28階・28階の半階上])はスーパートラスと呼ばれる柱を複雑に組み合わせた構造体になっており、作業用ゴンドラなどの格納場所や機械室として利用されている。 | |||
この地方に吹き付ける「[[遠州]]の[[からっ風]]」と呼ばれる強風によって居住性が悪化するのを防ぐ目的で、[[制震|アクティブ制振]]装置([[三菱重工業]]製)が最上階の45階に2基設置されている。1cm以上の揺れを検知した場合に1基約90トンの振り子をコンピュータ制御で動かすことによって、揺れを打ち消すようになっている。 | |||
ドラマ[[古畑任三郎]](第3シリーズ第2話「その男、多忙につき」)の撮影が、当ビル、および駅南にあった[[富士ハウス]]本社ビルを利用して行われた。 | |||
屋上に防災用のヘリポートを備えるほか、[[浜松市消防局]]の火災監視用カメラ、テレビ局の[[お天気カメラ]]、コミュニティ放送局「FM Haro!([[浜松エフエム放送]])」のラジオ送信設備などが設置されている。また、[[NHK浜松支局]]と[[浜松中継局#NHK鼠野ラジオ放送所|NHK鼠野ラジオ放送所]]を結ぶ線上にあり、浜松支局からラジオ放送所に向けて発信している中継用の[[マイクロ波]] ([[STL (放送)|STL]]) を建物が遮り減衰させてしまうため、屋上にラジオ用のマイクロ波中継設備を備えている。 | |||
=== Cゾーン(展示イベントホール) === | |||
展示会などのイベント用に設計された大規模なホールである。 | |||
* 広さは3,500[[平方メートル|m<sup>2</sup>]](35m×99m)であり、間仕切りを設置することにより以下の3区画に分割可能。 | |||
** 第1ブロック: 1,100m<sup>2</sup>(35m×31m) | |||
** 第2ブロック: 1,300m<sup>2</sup>(35m×37m) | |||
** 第3ブロック: 1,100m<sup>2</sup>(35m×31m) | |||
* 天井高: 12m | |||
* 床荷重: 2.0t/m<sup>2</sup> | |||
* 搬入口: W4.680m×H4.000m | |||
展示イベントホールはプロレス興行で使用される例が多く、[[新日本プロレス]]が2013年8月1日に『[[G1 CLIMAX|2013 G1 CLIMAX]]』開幕戦を開催している<ref>[http://www.hcf.or.jp/calendar/detail.php?id=11519 新日本プロレス G1 CLIMAX 23 開幕戦] アクトシティ浜松 オフィシャルサイト</ref>。 | |||
=== Dゾーン(浜松市楽器博物館、研修交流センター) === | |||
[[File:Hamamatsu Museum of Musical Instruments 01.JPG|thumb|right|250px|浜松市楽器博物館]] | |||
'''浜松市楽器博物館'''(はままつし がっきはくぶつかん)は、[[1995年]]([[平成]]7年)[[4月]]に開館した全国で唯一の公立の楽器博物館で、東洋最大の楽器博物館でもある。 | |||
[[アジア]]・[[アフリカ]]の楽器の展示の他、[[明治]]時代の初め、日本の[[学校教育]]に取り入れられた音楽や浜松の楽器産業の歴史、日本の[[雅楽]]などの楽器の展示にここならではの特徴が見られ、「楽器の町・浜松」らしい[[博物館]]になっている。[[2006年]](平成18年)[[3月21日]]に、リニューアルオープンした。 | |||
近所にある、[[浜松科学館]]との間で協力関係にあり、楽器博物館の入場者は、科学館で割引。同じく、科学館の入場者は、楽器博物館で割引などの特典がある。また、研修交流センターでは、市内にある[[静岡文化芸術大学]]やアクトシティ内に設置されているアクト音楽院(音楽祭の実施や若手音楽家の育成を行う専門学校)等からの協力により、楽器製造に関する交流を始めとして、クラシック音楽等に関するセミナーを実施。 | |||
== 郵便番号 == | |||
; アクトタワー(Bゾーン) | |||
: 430-77xy - xyは階層が入る(例: 1階…430-7701, 45階…430-7745, 地階・階層不明…430-7790) | |||
; それ以外(A・C・Dゾーン) | |||
: 430-7790 - タワーの「地階・階層不明」と同じ | |||
== 周辺再開発との関係 == | |||
アクトシティの建設は、楽器の街(工業都市)から音楽の街(文化都市)への変革をめざす市の文化政策と、アクトタワーを起爆剤に中心市街地の高度利用を促し都心への人口回帰をめざす都市政策の一環として[[バブル景気]]のさなかに企画・決定された。完成当時の市の人口は55万人ほどであったにもかかわらず、当時名古屋市を上回る高層の建築物を作ることができた。 | |||
しかし完成時にはすでに[[バブル崩壊]]が起こっていたため、当初計画していたアクトシティを呼び水とする周辺再開発は停滞。具体的な動きを見せるのは[[2000年]]以降である。文化政策面では市や県の主催する多くの文化事業に使用され、[[浜松国際ピアノコンクール]]や[[静岡国際オペラコンクール]]などの国際コンクールの会場としても使用されている。 | |||
民有部のアクトタワーの稼動率の低さが懸念されてきたが、多くの商店やオフィスが駅の北西側に偏っており、アクトシティを含む駅東側は[[浜松科学館]]など文化ゾーンとして整備されているため、商業施設としては客を呼び込みにくい状況にある。2017年現在、周辺(中央地区)の再開発が進行中で都心への高層マンション建設が盛んであり、駅南の砂山地区の再開発も進行するなど、都心への人口回帰の兆しがみられるため、稼働率は向上している。オフィス部に関しては浜松市の政令市移行以降、入居率が上昇しており入居率は95%超<ref>[http://www.maru8fudosan.com/sin-HP/080409/sikyou-2.htm 丸八不動産不動産市況レポート2008年春]{{リンク切れ|date=2018年3月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref>と建設以来最高の入居率を記録している。 | |||
== 運営 == | |||
市有施設と民有施設の複合体であることから[[第三セクター]]方式による運営であると思われがちであるが、市有施設の運営は財団法人[[浜松市文化振興財団]]に、民有施設の運営は[[オリックス (企業)|オリックス]]傘下のアクトシティ・インベストメント有限会社に分離されている。 | |||
市有部は黒字運営を達成しており、文化事業の実施によって市からの補助金を受給しているものの、税金からの損失の補填はない。[[2005年]](平成17年)[[4月1日]]には、それまで市有部分の管理運営をしていた財団法人アクトシティ浜松運営財団を、アクトシティ以外の文化施設の管理運営をしていた財団法人浜松市文化協会と統合し、浜松市文化振興財団に再編した。 | |||
民有のBゾーンはバブル崩壊後、賃料負担が重荷になったテナントが相次いで退去したため空室が増加。施主である第一生命などにとって不良資産化したため、オリックスに売却。運営会社も第一生命傘下の株式会社アクトシティコーポレーションから、現在のアクトシティ・インベストメント社に変更された。 | |||
== 事件・事故・争議 == | |||
=== アクトタワー空中権訴訟 === | |||
アクトタワー建設にあたっては、Bゾーン単体では法律で認められている[[容積率]](600%)をオーバーするため、隣接する市有のAゾーンの地上高を低く抑え、残りの容積率を民有区画であるタワー建設のために使用する[[空中権]]取引が行われたが、この際空中権の利用に関する契約を結んでおらず、対価も受け取っていないことから、公有財産である空中権の管理を怠り市に損害を与えたとして、市長に対し、空中権の使用対価を企業側に請求するよう求める訴訟を市民グループから起こされた。 | |||
[[1999年]]([[平成]]11年)[[3月26日]]、[[静岡地方裁判所]]は、[[住民監査請求|監査請求]]期限を過ぎているとして訴えを退けたうえで、空中権は公有財産にあたらず、その管理は市の裁量に委ねられるとする判断を示した<ref>1999年3月27日付 静岡新聞朝刊</ref>。 | |||
=== 中ホール消火設備誤作動事故 === | |||
[[1996年]](平成8年)[[5月20日]]、中ホールの[[スプリンクラー設備|スプリンクラー]]作動ボタンに注意書きを貼ろうとした[[綜合警備保障]]の警備員が誤って作動ボタンを押してしまい、パイプオルガンが水びたしとなる事故があった。パイプオルガンは製造元のパスカル・コワラン社と組み立てを行ったヤマハの技術者によって解体され、フランスにあるコワラン社の工房で修復された。1999年(平成11年)[[1月]]にはパイプオルガン復旧記念コンサートが開かれた。 | |||
再発防止策としてスプリンクラーからの水がパイプオルガンにかからないよう改修されたため、パイプオルガンに延焼した場合は別途消火作業を行う必要がある。 | |||
== 交通アクセス == | |||
=== 鉄道 === | |||
*[[東海道新幹線]]・[[東海道本線]] 浜松駅から徒歩2分(連絡通路あり) | |||
*[[遠州鉄道鉄道線|遠州鉄道]] [[新浜松駅]]から徒歩5分 | |||
=== バス === | |||
*[[浜松駅バスターミナル]]から徒歩3分(連絡通路あり) | |||
*[[遠鉄バス]] 掛塚さなる台線(行先番号:90、92、93、96、97)・鶴見富塚じゅんかん(行先番号:91) アクトシティバス停から徒歩1分 | |||
=== 道路交通 === | |||
*[[東名高速道路]] [[浜松インターチェンジ|浜松IC]]・[[浜松西インターチェンジ|浜松西IC]]からそれぞれ車で約30分 | |||
**駐車場はアクトシティ地下駐車場(有料・約600台収容)および周辺の有料駐車場を利用。 | |||
== 脚注 == | |||
{{脚注ヘルプ}} | |||
{{reflist}} | |||
== 関連項目 == | |||
* [[日本の見本市会場一覧]] | |||
* [[各都道府県で最も高いビルの一覧]] | |||
* [[東海地方の超高層建築物の一覧]] | |||
* [[日本の超高層建築物・構築物の一覧]] | |||
== 外部リンク == | |||
{{Commonscat|ACT CITY Hamamatsu}} | |||
* [https://www.actcity.jp/ アクトシティ浜松(財団法人浜松市文化振興財団)] (市有部分の運営体) | |||
* [http://www.act-tower.co.jp/ 浜松アクトタワー(アクトシティ・インベストメント有限会社)] (アクトタワーの運営体) | |||
* [https://www.act-okura.co.jp/ オークラアクトシティホテル浜松] (アクトタワー内にあるホテル) | |||
* [https://www.gakkihaku.jp/ 浜松市楽器博物館] | |||
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[[Category:浜松市のホール]] | |||
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[[Category:1994年竣工の日本の建築物]] | |||
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[[Category:高さ200m以上250m未満の超高層ビル]] | |||
[[Category:日本のプロレス会場]] | |||
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[[Category:コミュニティFM放送送信所]] | |||
[[Category:1994年開業の施設]] | |||
[[Category:浜松駅]] |
2021年2月21日 (日) 14:12時点における最新版
アクトシティ浜松(アクトシティはままつ)は、JR浜松駅北東の浜松市中区板屋町および同区中央三丁目にあり、市有施設と民有施設によって構成される複合施設群である。
概要[編集]
AゾーンからDゾーンの4つに分かれており、
- Aゾーン(板屋町111-1、市有) - 大ホール、中ホール、コングレスセンター
- Bゾーン(板屋町111-2、民有) - アクトタワー(複合商業ビル)
- Cゾーン(中央三丁目12-1、市有) - 展示イベントホール
- Dゾーン(中央三丁目9-1、市有) - 浜松市楽器博物館、研修交流センター
で構成されている。各ゾーンは2階の高さで回廊で結ばれ、動く歩道も設けられている。回廊はJR浜松駅まで伸びている。
旧国鉄浜松駅周辺の連続立体交差事業による貨物駅機能の同市中区森田町への移転(現・西浜松駅)に伴って市が森田町の土地の代わり(換地)として取得した貨物駅跡地と、後に国鉄清算事業団から市が約400億円で取得した土地をあわせて一体開発した[1][2]。
浜松市と第一生命保険(以下、第一生命)、三菱地所が事業主体となり、1991年(平成3年)に建設を開始、1994年(平成6年)10月7日に落成した(Dゾーンのみ1995年4月落成)。Bゾーンの土地は超高層ビルの建設を含む開発整備の実施を条件として、複数の共同企業体による建築設計競技(コンペ)を経て、市から第一生命と三菱地所に約567億円で売却されたものである。当施設の建設事業は駅跡地という空き地を開発したものであるため、厳密には再開発事業ではないが、周辺の再開発とあわせて一般には市街地再開発事業と認識されている。
Aゾーン(ホール、コングレスセンター)[編集]
大ホールでは日本初となる四面舞台を活用したオペラやオーケストラ演奏会のほか各種学会などが行われることも多く、施設は人口規模に比較して充実しているといえる。
中ホールにはパスカル・コワラン社(フランス)製のパイプオルガン(64ストップ、パイプ本数4,478本)が設置されており、演奏会などのほか、各種学会や入学式なども行われている。聖隷クリストファー大学は入学式をパイプオルガンコンサート形式で行っている。クラシック専門のホールとして音質設計がされており、音が空から降り注いでくるように聞こえる。浜松出身の鈴木重子など、ここでのコンサートを行う音楽家も多い。
大・中ホールとも、地元企業であるヤマハによる音響設計が行われており[3]、駅前という立地条件から、鉄道からの騒音・振動を充分に遮る遮音性能をもたせている。
このほか大小の会議室も設置されている。
スーパー戦隊シリーズの『宇宙戦隊キュウレンジャー』の第一話に登場。
Bゾーン(浜松アクトタワー)[編集]
Template:基礎情報 超高層ビル Bゾーンの浜松アクトタワーは、地上45階建、最高部(塔屋上ヘリポート)の高さ212.77mの超高層ビル。外観は、音楽の町・浜松を意識して、ハーモニカをモチーフにしている。
1998年(平成10年)にJRセントラルタワーズ(名古屋市)が完成するまでは中部地方で最も高いビルであった。2019年(令和元年)現在、静岡県内で地上高のもっとも高いビルである。
オークラアクトシティホテル浜松[4]をはじめ、多くの企業や店舗が入居する、浜松市のランドマークである。周辺の再開発が進む2019年(令和元年)現在においても、林立する地上30階超規模のタワーマンション群の約2倍の高さをもち、10km以上離れた浜北区内からもはっきりと確認できるなど、ランドマークとしての機能を失っていない。一番遠いところでおよそ100km離れた三重県伊勢市にある朝熊山からも見えるという。
ビルは東西側から見るとビール瓶のように上部がくびれた形状となっている。このくびれ部分より上部はホテル、下部はオフィスや店舗であり、柱の間隔が異なっている。上部の荷重を下部の柱に均等に分散させるため、このくびれ部分(28階・M28階[中28階・28階の半階上])はスーパートラスと呼ばれる柱を複雑に組み合わせた構造体になっており、作業用ゴンドラなどの格納場所や機械室として利用されている。
この地方に吹き付ける「遠州のからっ風」と呼ばれる強風によって居住性が悪化するのを防ぐ目的で、アクティブ制振装置(三菱重工業製)が最上階の45階に2基設置されている。1cm以上の揺れを検知した場合に1基約90トンの振り子をコンピュータ制御で動かすことによって、揺れを打ち消すようになっている。
ドラマ古畑任三郎(第3シリーズ第2話「その男、多忙につき」)の撮影が、当ビル、および駅南にあった富士ハウス本社ビルを利用して行われた。
屋上に防災用のヘリポートを備えるほか、浜松市消防局の火災監視用カメラ、テレビ局のお天気カメラ、コミュニティ放送局「FM Haro!(浜松エフエム放送)」のラジオ送信設備などが設置されている。また、NHK浜松支局とNHK鼠野ラジオ放送所を結ぶ線上にあり、浜松支局からラジオ放送所に向けて発信している中継用のマイクロ波 (STL) を建物が遮り減衰させてしまうため、屋上にラジオ用のマイクロ波中継設備を備えている。
Cゾーン(展示イベントホール)[編集]
展示会などのイベント用に設計された大規模なホールである。
- 広さは3,500m2(35m×99m)であり、間仕切りを設置することにより以下の3区画に分割可能。
- 第1ブロック: 1,100m2(35m×31m)
- 第2ブロック: 1,300m2(35m×37m)
- 第3ブロック: 1,100m2(35m×31m)
- 天井高: 12m
- 床荷重: 2.0t/m2
- 搬入口: W4.680m×H4.000m
展示イベントホールはプロレス興行で使用される例が多く、新日本プロレスが2013年8月1日に『2013 G1 CLIMAX』開幕戦を開催している[5]。
Dゾーン(浜松市楽器博物館、研修交流センター)[編集]
浜松市楽器博物館(はままつし がっきはくぶつかん)は、1995年(平成7年)4月に開館した全国で唯一の公立の楽器博物館で、東洋最大の楽器博物館でもある。
アジア・アフリカの楽器の展示の他、明治時代の初め、日本の学校教育に取り入れられた音楽や浜松の楽器産業の歴史、日本の雅楽などの楽器の展示にここならではの特徴が見られ、「楽器の町・浜松」らしい博物館になっている。2006年(平成18年)3月21日に、リニューアルオープンした。
近所にある、浜松科学館との間で協力関係にあり、楽器博物館の入場者は、科学館で割引。同じく、科学館の入場者は、楽器博物館で割引などの特典がある。また、研修交流センターでは、市内にある静岡文化芸術大学やアクトシティ内に設置されているアクト音楽院(音楽祭の実施や若手音楽家の育成を行う専門学校)等からの協力により、楽器製造に関する交流を始めとして、クラシック音楽等に関するセミナーを実施。
郵便番号[編集]
- アクトタワー(Bゾーン)
- 430-77xy - xyは階層が入る(例: 1階…430-7701, 45階…430-7745, 地階・階層不明…430-7790)
- それ以外(A・C・Dゾーン)
- 430-7790 - タワーの「地階・階層不明」と同じ
周辺再開発との関係[編集]
アクトシティの建設は、楽器の街(工業都市)から音楽の街(文化都市)への変革をめざす市の文化政策と、アクトタワーを起爆剤に中心市街地の高度利用を促し都心への人口回帰をめざす都市政策の一環としてバブル景気のさなかに企画・決定された。完成当時の市の人口は55万人ほどであったにもかかわらず、当時名古屋市を上回る高層の建築物を作ることができた。
しかし完成時にはすでにバブル崩壊が起こっていたため、当初計画していたアクトシティを呼び水とする周辺再開発は停滞。具体的な動きを見せるのは2000年以降である。文化政策面では市や県の主催する多くの文化事業に使用され、浜松国際ピアノコンクールや静岡国際オペラコンクールなどの国際コンクールの会場としても使用されている。
民有部のアクトタワーの稼動率の低さが懸念されてきたが、多くの商店やオフィスが駅の北西側に偏っており、アクトシティを含む駅東側は浜松科学館など文化ゾーンとして整備されているため、商業施設としては客を呼び込みにくい状況にある。2017年現在、周辺(中央地区)の再開発が進行中で都心への高層マンション建設が盛んであり、駅南の砂山地区の再開発も進行するなど、都心への人口回帰の兆しがみられるため、稼働率は向上している。オフィス部に関しては浜松市の政令市移行以降、入居率が上昇しており入居率は95%超[6]と建設以来最高の入居率を記録している。
運営[編集]
市有施設と民有施設の複合体であることから第三セクター方式による運営であると思われがちであるが、市有施設の運営は財団法人浜松市文化振興財団に、民有施設の運営はオリックス傘下のアクトシティ・インベストメント有限会社に分離されている。
市有部は黒字運営を達成しており、文化事業の実施によって市からの補助金を受給しているものの、税金からの損失の補填はない。2005年(平成17年)4月1日には、それまで市有部分の管理運営をしていた財団法人アクトシティ浜松運営財団を、アクトシティ以外の文化施設の管理運営をしていた財団法人浜松市文化協会と統合し、浜松市文化振興財団に再編した。
民有のBゾーンはバブル崩壊後、賃料負担が重荷になったテナントが相次いで退去したため空室が増加。施主である第一生命などにとって不良資産化したため、オリックスに売却。運営会社も第一生命傘下の株式会社アクトシティコーポレーションから、現在のアクトシティ・インベストメント社に変更された。
事件・事故・争議[編集]
アクトタワー空中権訴訟[編集]
アクトタワー建設にあたっては、Bゾーン単体では法律で認められている容積率(600%)をオーバーするため、隣接する市有のAゾーンの地上高を低く抑え、残りの容積率を民有区画であるタワー建設のために使用する空中権取引が行われたが、この際空中権の利用に関する契約を結んでおらず、対価も受け取っていないことから、公有財産である空中権の管理を怠り市に損害を与えたとして、市長に対し、空中権の使用対価を企業側に請求するよう求める訴訟を市民グループから起こされた。
1999年(平成11年)3月26日、静岡地方裁判所は、監査請求期限を過ぎているとして訴えを退けたうえで、空中権は公有財産にあたらず、その管理は市の裁量に委ねられるとする判断を示した[7]。
中ホール消火設備誤作動事故[編集]
1996年(平成8年)5月20日、中ホールのスプリンクラー作動ボタンに注意書きを貼ろうとした綜合警備保障の警備員が誤って作動ボタンを押してしまい、パイプオルガンが水びたしとなる事故があった。パイプオルガンは製造元のパスカル・コワラン社と組み立てを行ったヤマハの技術者によって解体され、フランスにあるコワラン社の工房で修復された。1999年(平成11年)1月にはパイプオルガン復旧記念コンサートが開かれた。
再発防止策としてスプリンクラーからの水がパイプオルガンにかからないよう改修されたため、パイプオルガンに延焼した場合は別途消火作業を行う必要がある。
交通アクセス[編集]
鉄道[編集]
バス[編集]
- 浜松駅バスターミナルから徒歩3分(連絡通路あり)
- 遠鉄バス 掛塚さなる台線(行先番号:90、92、93、96、97)・鶴見富塚じゅんかん(行先番号:91) アクトシティバス停から徒歩1分
道路交通[編集]
脚注[編集]
- ↑ Template:Cite news
- ↑ 貨物駅に隣接していた旧浜松駅の駅舎跡地は浜松駅バスターミナルとして整備されている。
- ↑ Template:Cite web
- ↑ 開業当時はホテルオークラ直営であったが、2004年にオークラホテル&リゾートとオリックスとの間で運営受託契約が締結され、以降「オークラ」の名前を残したままオリックスが運営を行っている。
- ↑ 新日本プロレス G1 CLIMAX 23 開幕戦 アクトシティ浜松 オフィシャルサイト
- ↑ 丸八不動産不動産市況レポート2008年春Template:リンク切れ
- ↑ 1999年3月27日付 静岡新聞朝刊
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- アクトシティ浜松(財団法人浜松市文化振興財団) (市有部分の運営体)
- 浜松アクトタワー(アクトシティ・インベストメント有限会社) (アクトタワーの運営体)
- オークラアクトシティホテル浜松 (アクトタワー内にあるホテル)
- 浜松市楽器博物館